『ママに会いたい』【死別した家の非日常と日常の話】

2017年12月1日、最愛の妻と死別し、突如父子家庭となり11歳の長男、10歳の長女、3歳の次男の子育てに悪戦苦闘しながら、前に進んだり後ろを向いたり横を向いたりする日々を綴る雑記ブログでである。

12月1日妻が倒れた(3)

   妻が倒れた連絡から1時間半あまりして病院の救命救急センターに到着した。すぐ中に通されるかと思ったが、しばらく待たされた。こういう時、親族等の到着を待ち、蘇生措置の中止・死亡確認を行うものと思っていたので、私待ちだったかと思ったが、待たされるということは、まだ望みがあるのか・息を吹き返したんだろうか。と淡い期待を抱きながら待合室で待った。待っている間、親兄弟等の親族はほぼ全員が駆けつけた。

    そして、看護師に声を掛けられ、中へ通された。救命救急の担当医師から「搬送されて2時間ずっと心拍の再開(心臓が動くこと)は無く脳へのダメージを考えるともう‥‥」と言われ自分が死刑宣告を受けたような絶望感に襲われた。 目の前のベットには沢山の管がつけられて横たわる痛々しい妻の姿。スタッフが心臓マッサージを続けている。堪え難い冷酷な現実がそこにあった。

    私は「子供達も一緒なのに‥‥嫌だ!こんな形で妻の最期を決めるなんて」と思い、必死に妻に「戻って来て欲しい」と呼び掛けた。その間も「電気ショックは?」と聞いたが「電気ショックは効果が無い」と言われ、「何とかならないんですか!」と泣き叫ぶように助けを求めたが返事は無く「(もうどうしようもないんだよ、あきらめろ。早くこの無駄な心臓マッサージを終わらせろ)」と言われているようなそんな重たい悲痛な空気が部屋を支配していた。

    現実問題、自分の嫌な部分でもあるが脳裏では冷静に「倒れて搬送され、2時間以上ずっと息を吹き返していない人間が蘇生するはずがない。後は自分がどのタイミングで措置を中止してもらうかだけだ」と感じていた。だが、自分の最愛の妻の死を認めること。しかも親族が勢ぞろいして泣き叫ぶようにして「戻って来て欲しい」と呼び掛けている。子供達3人もそばにいて泣きながら「ママ戻って来て」と妻にすがりついている。今更子供達を下がらせる訳にもいかない。そんな状況下でそんなこと(蘇生措置の中止を求めること)は出来なかった‥‥